2016年2月1日月曜日

脳卒中の重症度と脳卒中後の機能に発病前の身体活動が与える影響

発病前の歩行習慣と初発脳卒中後の機能の状態との間に有意な関連があるという内容です。毎日30分以上歩くことで、脳卒中後も機能が高く維持されるそうです。


EFFECTS OF PREMORBID PHYSICAL ACTIVITY ON STROKE SEVERITY AND POST-STROKE FUNCTIONING
脳卒中の重症度と脳卒中後の機能に発病前の身体活動が与える影響
J Rehabil Med 2015; 47: 612–617

OBJECTIVE:
脳卒中の重症度と機能に与える、発病前の身体活動の影響を調べるために、初発脳卒中の急性期、および1年間のフォローアップ時に、ADL、歩行とバランスにより測定した。

METHODS:
初発脳卒中または一過性脳虚血発作を持つ183人の患者の急性期と1年間のフォローアップが研究に含まれた。性別、年齢、教育、リビングアレンジメント、BMI、喫煙、高血圧、脳卒中の分類と歩行補助具の使用を記録した。発病前の身体活動は、歩く習慣をアンケートで記録した。脳卒中後のアウトカムは、National Institutes of Health Stroke Scale、Modified Ranking Scale、Barthel ADL Index、最大歩行速度とBerg Balance Scaleとした。※リビング・アレンジメント(親子をはじめと祖父母と孫など世代間の同別居や近居などの居住形態)

RESULTS:
参加者の脳卒中前の「規則的な歩行の期間」と、脳卒中の急性期にあるすべてのアウトカムの機能の間に有意な相関(P <0.05)があった。 いつも30分以上歩いていた参加者が有意に良好な結果を達成した。歩行及びバランスの尺度は、一年間のフォローアップ時にも同様の関連性(p <0.05)を示した。

CONCLUSION:
発病前の歩行習慣と初発脳卒中後の機能の状態との間に有意な関連性がある。30分以上歩くような毎週の低強度の身体活動は、脳卒中後の機能に持続的な影響を有する。

url
http://www.medicaljournals.se/jrm/content/?doi=10.2340/16501977-1972

2015年11月30日月曜日

回復期リハビリテーション病棟での、肥満日本人脳卒中患者は機能回復の結果が良い

回復期の脳卒中患者は肥満のほうが有利かもしれないとの、日本人対象の研究です。
url 
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26403365


Obese Japanese Patients with Stroke Have Higher Functional Recovery in Convalescent Rehabilitation Wards: A Retrospective Cohort Study.  J Stroke Cerebrovasc Dis. 2015 Sep 21.  Impact Factor 20141.669
回復期リハビリテーション病棟での、肥満日本人脳卒中患者は機能回復の結果が良い:後ろ向きコホート研究

Abstract

BACKGROUND:
脳卒中患者における死亡率または機能的結果に過度のボディマス指数(BMI)の保護効果は、アジアにおいては確立されていない。脳卒中の肥満患者は、日本リハビリテーション病棟での機能改善のための利点を持っているかどうかを明らかにすることを目的としました。

METHOD:
この後ろ向きコホート研究では、2011年および2015年に回復期リハビリテーション病棟に入院して、退院した患者を対象としている。入院患者の基礎データ、BMI、機能的自立尺度(FIM)スコア、および栄養状態を分析した。参加者は、BMIに応じて4群に分類した(underweight <18.5kg/, standard 18.5-<23kg/, overweight 23-<27.5kg/, obese 27.5kg/)。主要アウトカムは、FIM利得であり、二次アウトカムは退院時FIMスコア。重回帰分析は、BMIと機能回復の間の関係を分析するために行った。

RESULTS:
参加者合計は、897(males 484, females 413; mean age 71.6 years)。それぞれunderweight (134), standard (432), overweight (277), and obese (54)として分類された。中央値FIM利得と退院時FIMスコアは、それぞれ、30および114。肥満群におけるFIM利得は、他グループに比べて有意に高かった。重回帰分析では、肥満は独立FIM利得と相関していた。そして、年齢、性別、入院時のFIMスコアなどの交絡因子について調整後の退院時のFIM利得とも相関していた。

CONCLUSIONS:

肥満日本人の回復期脳卒中患者はリハビリテーション病棟での機能回復にいくつかの利点を持っているかもしれない。

2015年10月5日月曜日

脳卒中片麻痺患者のトレッドミルトレーニングにおいての傾斜の効果について

トレッドミル歩行に傾斜の負荷を加えると、脳卒中片麻痺患者の歩行において速度と麻痺側ステップ長が群間比較で有意な改善があったのとの内容です。



Effects of Treadmill Inclination on Hemiparetic Gait: Controlled and Randomized Clinical Trial
脳卒中片麻痺患者の傾斜トレッドミルの影響:RCT

American Journal of Physical Medicine & Rehabilitation
September 2015 Vol. 94 - Issue 9: p 718–727
2015 Impact Factor:           2.202

URL  : http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25357148

Abstract

OBJECTIVE:
本研究の目的は、片麻痺患者における歩行の運動学的特性への傾斜トレッドミルトレーニングの効果を分析することです。

DESIGN:
盲検、無作為比較試験。28名の被験者を2つの群に分けた。コントロール群は傾斜のない部分体重支持トレッドミル群。実験群は10%の傾斜での部分体重支持トレッドミル群。すべてのボランティアは、12のトレーニングセッションの前後の機能的自立、運動機能、バランス、歩行を評価した。

RESULTS:
両グループは、バランス(P <0.001)、運動機能(P <0.001)、および機能的自立(P = 0.002)で介入前後に有意な変化があった。コントロール群と実験群との比較では、速度(P = 0.02)と麻痺側ステップ長(P = 0.03)に優位な差が観察された。角度変数はいずれの群でも有意差を示さなかった。

CONCLUSIONS:
片麻痺患者では、部分体重支持トレッドミル歩行訓練の際に傾斜を加えることは効果を高めることができる。


※傾斜の参考
10%の傾斜=1/10の勾配の坂=5.71°
一般の階段に代わる傾斜路(高さ1m以上)=18以下(7.1°以下);建築基準法・施行令26
車いす使用者のスロープ(屋外)=115以下(3.8°以下);バリアフリー法の円滑化誘導基準・11条・6
車いす使用者のスロープ(屋内)=112以下(4.7°以下);バリアフリー法の円滑化誘導基準・6条・2



書籍紹介:ペリーの歩行分析
私は第1版の洋書を持っているのですが、第2版の邦訳も出ているのですね。

2015年8月18日火曜日

運動イメージの質は概日リズムを示す(高齢者入院患者対象の研究)

高齢者では運動イメージの質は概日リズムを示す(一方で実際の運動実行そのものは概日の変調がない)。との内容の論文を紹介いたします。


Arch Phys Med Rehabil. 2015 Jul;96(7):1229-34.
Influence of Circadian Rhythms on the Temporal Features of Motor Imagery for Older Adult Inpatients. 高齢入院患者の運動イメージの時間的特徴に与える概日リズムの影響
Rulleau T, Mauvieux B, Toussaint L.

Abstract

OBJECTIVE:高齢入院患者がリハビリテーションの活動に運動イメージを使う際の、一日のうち最高の時間を決定するために、運動イメージの質に対する概日調節を調べる。

DESIGN:
Time series posttest only.時系列事後テスト

SETTING:
Inpatient rehabilitation center.入院リハビリテーションセンター。

PARTICIPANTS:
参加者は、多様な老人医学、神経老人医学の理由で入院した高齢者入院患者34人。彼らは、補助具無しで座って対象物を操作し、介助なしに、または杖で30秒内で10メートルを歩くことができる

INTERVENTION:None.

MAIN OUTCOME MEASURES:
書き取り課題やウォーキング活動を実行したり、イメージしたりすることは一日7(9:15 am-4:45 pm)、リハビリテーションの活動と同時進行で行われた。各試験と各入院患者の運動イメージの質は等時性指標isochrony indexを計算することによって評価した(すなわち、実行とイメージ行動の平均持続時間の差の絶対値)。コサイナー法は、概日リズムcircadian rhythmicityのための時系列を分析に使用した。

RESULTS:
リズムの変調が実行運動には現れなかったのに対し、イメージ運動期間と等時性指数は、概日の変調を示した。運動イメージの質は、それぞれ書き込み課題で1018分、歩行で1210 でより高かった。

CONCLUSIONS:
運動行動の認知面と感覚運動sensorimotorの側面は、高齢者の間で異なっていた。運動イメージの時間的特徴は、明確な日内変動circadian variationを示した。実用的な観点から、本研究では、高齢者の入院患者とリハビリテーション活動に運動イメージのための効果的なスケジュールに基づいて情報を提供している。


書籍紹介:脳のなかの幽霊
ラマチャンドランの脳のなかの幽霊。10年以上前の出版ですが今読んでもとても面白いです。文庫化されて安く手に入るようになっているようです。

2015年4月13日月曜日

脳梗塞の再発で機能的な回復は遅延しない

日々の臨床において、再発性の脳卒中患者では、なんとなく機能回復が遅延する印象がありましたが、この研究では脳卒中の再発ということが短期間の機能的転機に悪影響を及ぼすと考えるべきではないと結論されています。漠然とした印象が必ずしも真でないと感じました。


Functional gain following rehabilitation of recurrent ischemic stroke in the elderly: experience of a post-acute care rehabilitation setting.
高齢者の再発性脳梗塞後の機能回復:亜急性期のリハビリテーション施設において

Arch Gerontol Geriatr. 2015 Jan-Feb;60(1):108-11. 
Archives of Gerontology and Geriatrics 2013 / 2014 Impact Factor 1.525
老年学と老年医学

Mizrahi EH, Fleissig Y, Arad M, Adunsky A.

アブストラクト
本研究の目的は再発性の脳梗塞患者のリハビリテーションは、機能回復に影響するかどうかを評価することである。私たちは、脳梗塞の発症後に連続してリハビリテーションにために入院した高齢患者919名について検討した。患者のうち22%が、再発脳卒中だった。初発脳卒中患者と再発脳梗塞患者の機能的転帰は、入院と退院時機能的自立測定スケール(FIM)により評価した。データは、t検定、カイ二乗検定、線形重回帰分析によって分析した。初発脳卒中患者は716名、再発脳卒中はと203名であった。入院時の合計FIMとモーターFIM、退院時の合計FIMとモーターFIM、FIMgain、Montebello Rehabilitation Factor (RFG) FIM scores は2群で同じ傾向であった。線形重回帰分析では、年齢(beta=-0.13, p=0.001) 、入院期間 (beta=0.21, p<0.001)、MMSE (beta=0.1, p=0.01)は高いFIMスコアを得るための独立した予測因子として検出された。今回の研究ではリハビリテーション病院に入院した再発脳梗塞患者は、退院時において初発脳卒中患者と同じようなFIM gainスコアを示すことを示唆している。亜急性期のリハビリテーション施設において、脳卒中の再発ということが短期間の機能的転機に悪影響を及ぼすと考えるべきではないと結論される。

URL , http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25239513




書籍紹介:脳からみたリハビリ治療
少し出版が古いのですが、専門家でない方にすすめるには良い本です。